共有名義の不動産相続は売却が困難でトラブルに

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兄弟

マンション、住宅、家、土地や建物などの不動産を相続する場合は、現預金などと違って分割しにくいため親族間でトラブルになりやすい傾向にあります。特に法定相続人が兄弟姉妹のような場合は、尚更注意が必要です。

不動産を相続する際には、遺産分割にあたっていくつかの方法がありますが、その中でも家や土地を「共有」した場合のデメリットとトラブル事例について解説します。

1.共有名義の土地を相続してトラブルになる事例

まずは、共有名義の不動産が絡む事例を見てみましょう。その後に、共有名義の不動産の権利関係について詳しく解説します。

1-1.共有名義の不動産トラブルはなぜ起こるのか?

遺産分割の場面でよく起こるトラブルとして、共有名義の土地を相続したことによって発生するものがあります。
土地がもともと共有の場合、共有者のうち一人が死亡すると、その共有持分が相続人に相続されます。すると、土地共有者がさらに増えてしまう上、共有者どうしの面識もないことが多いため、土地の処分などが極めて難しくなりますし、固定資産税を誰が支払うかなどについてもトラブルになることがあります。

1-2.共有名義が絡む遺産分割トラブルの具体的な事例

共有名義の土地を相続してトラブルになる事例の具体例を見てみましょう。
父親が、もともと祖父の死亡の際、兄と土地を相続して、それぞれ共有持分2分の1ずつとして土地の持分を所有していましたが、今回その父親が亡くなって子ども2人が2分の1ずつ相続しました。そこで現在、子ども達は、土地に対して2分の1×2分の1=4分の1の持分を取得しています。

ここで、子ども達は、この土地は特に何の活用もされていないことや、土地の共有部分があると、固定資産税などもかかることから土地を売却したいと考えました。ところが、共有の土地を売却するには、他の共有持分者の同意と協力が必要です。そこで子ども達は土地の共有者に連絡を取ろうとしましたが、実は共有名義人である叔父もすでに死亡していて相続が起こっており、相続人はつきあいのない親戚3人となっていて、合計5人が共有者の状態になっていることがわかりました。
兄弟は、何とかこの遠い親戚3人に連絡を取って土地の売却をすすめようとしましたが、なかなかうまく説明ができず、怪しまれたりしてまったく手続きが進まず、諦めざるを得ませんでした。
結局、土地は今でも何の活用もされずに放置されています。

1-3.共有名義トラブルが起こってしまったらどうすべきか?

このように、共有土地が相続されてトラブルになってしまったら、当事者だけの力ではどうにもなりません。そこで、弁護士に代理人となってもらって他の共有者と連絡をとってもらって土地売却の手続をすすめるべきです。弁護士であれば、他の共有者に上手に土地売却の必要性や方法を説明することができますし、相手に怪しまれずに済むのでスムーズに手続をすすめることができます。
もし弁護士に代理交渉してもらっても他の共有者が売却に同意しない場合には、共有物分割調停や訴訟をして、土地を共有持分に応じて分割してもらう必要があります。

1-4.トラブル予防のための事前対処方法

共有土地を相続すると、トラブルになってしまうおそれが高いです。そこでこのようなトラブルを防止するためには、当初から共有状態を作らないことが重要です。
つまり、父親の代において共有状態にしてしまったのがそもそもの間違いなのであり、父親の単独名義にするか、他の共有者(父の兄)の単独名義にしておくべきでした。そうしておけば、共有者の相続人3人と、こちらの兄弟2人が見も知らないのに同じ土地を共有することになるトラブルを避けることができたはずだからです。
遺産分割をする場合、不動産の共有はできるだけ避けるべきですし、いったん共有にしてしまったとしても、早期にその状態を解消しておくべきです。

2.共有名義とは?

共有名義とは、一つの不動産を複数の人で所有することです。不動産を複数人で分けるのではなく、一つの不動産の持分(所有権の割合)を決めて共有することです。たとえば、夫が1/2、妻が1/2というように共有します。
不動産を共有するには、法務局にて登記が必要です。不動産においては登記簿に記載されていない限り第三者に対抗(不動産の所有権を主張すること)できないからです。不動産登記簿にの権利部の甲区の「権利者その他の事項」欄に、「共有者 ○○市○○町一丁目1番1号 持分の2分の1 相続太郎」というように共有情報が記載されます。

2-1.新築・購入時に共有名義にするケース

不動産を共有名義にするケースとしては、主に、新築・購入時に資金を出し合う場合と、遺産相続の2つのケースが考えられます。

まず一つ目のケースとして、不動産は高額であるため、親子あるいは夫婦間で資金を出し合って新築・購入することがありますが、その際には拠出した資金の割合を持分として共有名義で登記します。
もし、片方の名義で登記してしまうと、名前が登記されていない人から登記した人にその持分に該当する金額の贈与があったとみなされ、贈与税が発生してしまいますので、ご注意ください。
(不動産の新築・購入に関してはいくつかの非課税制度が存在しますので、詳しくは税理士にご相談ください。)

【関連サイト】相続税理士相談カフェ:相続税対策と非課税制度

2-2.相続時に共有名義にするケース

次に二つ目のケースとして、遺産相続において相続した不動産を共有名義にする場合があります。
たとえば、遺産相続が発生して相続財産が実家だけの場合を想定します。法定相続人は兄弟2人です。この場合、どちらかが単独で相続すると、非常に大きな不公平感が生じてしまいます。不動産を相続した方人が相続しなかった方に金銭を支払えば(代償分割)事は済むのですが、そのための資金がないことが多くあります。
そこで、手っ取り早い解決方法として共有名義にする、つまり、一緒に実家を相続するという方法があります。例えば兄1/2、弟1/2というような感じです。

遺産分割協議が難航したり平行線である場合は、とりあえず法定相続分に従って土地を共有して相続すれば、その場は問題は解決してしまいます。
ただし、不動産を共有で相続すると、後になってさまざまな問題が発生することがあるため注意が必要です。

3.共有相続のデメリット①売却が難しくなる

不動産を自分一人で単独で相続した場合は、その不動産を売る、土地を貸す、壊す、何をするにしても自分一人の意思によって決定することができます。
ですが、マンションやその他不動産を共有してしまうと、共有名義人全員の同意がないと、売る・壊すなどの行為ができなくなります。

例えば先ほどのように兄弟で1/2ずつの持分で共有名義にしたとします。この場合、実家を建て直したり、壊して更地にしたり、または売却して現金化するような場合、兄弟2人の意見が揃わないと行うことができません。

不動産を共有すると、それぞれの持分に応じて単独でできることと、共同名義を持つ者全員の合意によってできることに分かれるため注意が必要です。

3-1.共有者が単独でできる行為:保存行為

保存行為とはその建物を維持していくために必要な最低限の行為をいい、共有者が単独で行うことができます。例えば土地の水道から水漏れをしている場合にそれを修理する、といった行為が該当します。また、不法占拠しているものに対して明け渡し請求することも保存行為にあたります。
これに対し自宅を大幅に改装したり建て直したりするような場合は、単独で勝手にすることはできなくなります。

3-2.共有者の過半数の同意によりできる行為:管理行為

管理行為とは共有物の利用や改良を行う行為のことであり、全員でなくでも「過半数」の同意により行うことができます。賃貸借契約を結ぶことや、賃貸借契約の「解除」がこれにあたります。(ただし、長期の賃貸借契約の締結は変更行為に当たるとの判例があります。東京地裁平成14年11月25日)

また、不動産会社と管理委託契約を締結する場合も管理行為にあたります。過半数の同意とは、1/2以上の持分が賛成する必要があるため、兄弟1/2ずつで共有している場合は、両者の同意が必要になります。

3-3.共有者全員の同意によりできる行為:変更行為

変更行為とは法律的にあるいは物理的に変更を伴う行為であり、共有者全員の合意が必要です。実家を建て直したり、壊して更地にしたり、売却して現金化する場合などは変更行為にあたります。この場合は共有名義をもつ共有者が全会一致で決める事になるため、だれか一人でも反対するとこれらの行為はできなくなります。

このように、不動産の管理運用方法を単独で決められなくなるため、よくあるパターンとして、「実家に住んでいる兄と、違う場所に住んでいる弟」との間で、売る、売らないでもめることが多々あります。

不動産業者も共有不動産の売買や賃貸についてはとても慎重になりますので、上記の条件を満たしているかどうかをしっかりと確認されます。そのため、ごまかして手続きをすることはできません。

不動産を相続するときに、とりあえず共同名義という選択肢をとると、後になってその管理運用面において非常に面倒なことになりますので気をつけましょう。

4.共有相続のデメリット②権利関係がどんどん複雑化する

不動産相続の際に「共有」という選択肢をとると、上記のリスクに加え、権利関係が複雑化していくというリスクを抱えることになります。

例えば相続財産である実家を兄1/2、弟1/2で共有して相続したとします。その翌年、兄が病気で死亡し再度相続が発生し、兄の法定相続人は、配偶者と子供2人だったとします。
兄にはめぼしい財産がほとんどなかったため、この1/2の実家の持分を配偶者1/2、長男1/4、次男1/4の割合で相続したとします。

すると、実家という1つの不動産に対して権利を有する人物が弟(持分1/2)、兄の配偶者(持分1/4)、兄の長男(持分1/8)、兄の次男(持分1/8)の4人に増えてしまうのです。そうなると、リスク1で解説した意思決定をする際の同意を取り付けるのがさらに大変になります。

このように、土地の共同名義・合同名義を繰り返していくと、どんどん権利関係が複雑になっていってしまい、事実上売却することが困難になるような事態も予想されます。

不動産相続にあたって、とりあえず共有という相続方法をとれば、その場は比較的簡単に遺産分割協議を合意させることができますが、実はそれは遺産分割という問題を根本的に解決できているわけではなく、将来に先送りしているのと同じなのです。

相続税申告の期限に間に合わせるために遺産分割をまとめることはとても重要ですが、だからといって安易に共有名義にするという選択をすると、後で建物・土地の管理や運営がとても大変になりますので、これらのリスクをよく理解した上で判断するようにしましょう。

まとめ

相続財産として不動産しかなく代償分割するための資金もない場合には問題になりやすく、とりあえずの解決手段として共有で相続するという方法がとられます。

しかし、それは現在の問題を将来に先送りしているだけであり、次の世代で相続が発生すると、権利関係はさらに複雑になります。不動産を売却、取り壊しなどする上では共有者全員の合意が必要ですので、共有者が何人もいると、思うように事が進まなくなります。下手をすると全く何もできず放置するしかなくなり、全く資産としての価値を成さなくなります。

このようなことを防ぐために、相続財産である不動産に関して悩んでいる場合には、弁護士にご相談のうえ、多少時間をかけてでもその相続の中で解決されることをお勧めします。
相続に強い弁護士であれば、相続関連トラブルの解決法をよく知っていますので、それぞれの場合に応じて適切な遺産分割方法を導き出してくれるでしょう。また、第三者が間に立つことで冷静になり、言い争いになりがちな親族間トラブルも防ぐことができます。

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