遺言書の作成費用はいくらかかるの?

遺言書の作成にはいくらかかるの?

ご自身の死後を考えて、遺言の作成を考えておられる方は多いと思います。遺言にはいくつかの方式がありますが、気になるのは、どのくらい費用がかかるかではないでしょうか。以下で検討します。

1.遺言書に関する費用(共通)

まずは自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書に共通する費用を説明します。

必要書類の取得費用

市町村の役所で「戸籍謄本」「印鑑証明書」「住民票」を、法務局で「登記事項証明書」などの書類を取り寄せる必要があります。

書類の取得費用は、戸籍謄本が1通450円、印鑑証明書や住民票が1通300円程度、登記事項証明書が土地・建物1つにつき600円です。全部で数千円はかかると考えておきましょう。

取り寄せ方法は市役所で取り寄せる書類ですと、郵送やコンビニでの受領が可能となりますので、所轄の市役所等でお問い合わせください。

登記事項証明書の取得は、法務局へ出向く必要があります。ただし、登記情報のオンライン化によって、従前のようにその土地を管轄する法務局に出向く必要がなくなり、最寄りの法務局で全国の不動産の登記事項証明書が取得できるようになりました。

弁護士費用

弁護士に依頼せずとも遺言書自体は作成できます。しかしながら、相続開始後に「争続」とならないためにも弁護士に依頼して、遺留分侵害の有無などの調査をすべきです。そのためには一定額の報酬を支払う必要があります。

弁護士費用は、大体10万円から20万円程度です。

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2.自筆証書遺言の作成費用

費用

自筆証書遺言の場合、作成にかかる手数料などはありません。必要書類や筆記具、封(封印)を用意するための実費程度と考えておけばよいでしょう。

メリット

メリットとして、以下が挙げられます。

  • 一番コストがかからない
  • 方式が簡単(公証人役場での手続きが不要)
  • 遺言の撤回も一番簡単
  • 遺言内容を誰にも知られない

デメリット

デメリットとして、以下のことが挙げられます。

  • 遺言書が発見されないおそれがある
  • 遺言者が紛失してしまう可能性もある
  • 遺言が無効となるおそれがある
  • 遺言が偽造・変造されるおそれがある
  • 遺言の執行前に「検認」が必要になる

自筆証書遺言を作成する場合、最低限、遺言の要件を満たしているかをチェックしながら作成しましょう。

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3.公正証書遺言の作成費用

公正証書遺言を作成する場合には、公証役場で「手数料」が必要になります。

公正証書作成の手数料

相続させる財産の価格によって、手数料が変わります。
下記表を参照してください。

財産の価額 手数料額
100万円まで 5,000円
200万円まで 7,000円
500万円まで 11,000円
1,000万円まで 17,000円
3,000万円まで 23,000円
5,000万円まで 29,000円
1億円まで 43,000円
1億円超~3億円まで 5,000万円ごとに13,000円を加算
3億円超~10億円まで 5,000万円ごとに11,000円を加算
10億円超 5,000万円ごとに8,000円を加算
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費用計算のやり方

公正証書遺言の作成手数料は、遺言により相続させ又は遺贈する財産の価額を上記の表にあてはめて手数料額を計算することを基本とします。
注意点ですが、遺言は相続人又は受遺者ごとに別個の法律行為となるため、遺言も相続人又は受遺者ごとに手数料が発生します。

加えて、遺言加算という制度があり、1通の公正証書遺言における目的価額の合計額が1億円までの場合は、「1万1000円」を加算すると規定しています。

具体的には以下のとおりとなります。

【例1】妻一人に1億円の財産を遺贈する場合

遺贈する財産の価格1億円に対応する手数料額は上表によれば、4万3000円となり、遺言加算が1万1000円なりますので合計5万4000円となります。

【例2】妻に6000万円、子供(1名)に4000万円を遺贈する場合

妻に遺贈する価額6000万円に対応する手数料額は上表によれば4万3000円となり、長男に遺贈する価額4000万円に対応する手数料額は2万9000円となり、合計で7万2000円となります。これに遺言加算1万1000円をした合計8万3000円が手数料の合計額となります。

なお、遺言者が公証役場行けない事情ある場合には、公証人が遺言者のもとに出向いて公正証書遺言を作成することも可能ですが、この場合には遺言加算を除外した手数料額の1.5倍が基本の手数料となり、これに遺言加算をすることになります。その他の費用としては旅費(交通費)の実費分かかります。また出頭日当として1日2万円、4時間まで1万円が必要となります。

公正証書遺言のメリット

メリットとして、以下のことがことが挙げられます。

  • 遺言が無効になりにくい
  • 遺言の紛失がない
  • 偽造が防止できる
  • 自分で手書きする必要がない
  • 遺言書の検認が不要

さらに公正証書遺言のうち平成元年以降に作成された遺言であれば、日本公証人連合会がオンライン管理をしているため公証人役場を通じて日本公証人連合会に照会することにより、公正証書遺言の有無をチェックすることができます。

なお、その際には、亡くなった方が死亡したという事実の記載があり、かつ、亡くなった方との利害関係を証明できる記載のある戸籍謄本と、ご自身の身分を証明するもの(顔写真入りの公的機関の発行したもの、例えば運転免許証)を公証人役場に持参することが必要となります。

公正証書遺言のデメリット

デメリットとして、以下のことが挙げられます。

  • 手続きに時間を要する
  • 手続きに費用がかかる
  • 公証人・証人に内容を知られる

4.秘密証書遺言の作成費用

費用

秘密証書遺言の場合も、公証人への手数料がかかります。ただし、秘密証書遺言の手数料は、一律1万1000円です。

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メリット

メリットとして、以下のことが挙げられます。

  • 遺言内容が公証人や証人にも知られずに済む

デメリット

デメリットとしては、以下のことが挙げられます。

  • 遺言の方式に瑕疵があれば、遺言が無効となるおそれがある
  • 遺言書が発見されないおそれがある
  • 遺言者が紛失してしまう可能性もある
  • 遺言書に「検認」を要する

5.遺言書は公正証書遺言での作成がおススメ

遺言は「有効な遺言」でなければ、書く意味が薄くなります。
そのため、公証人と打合せをしながら確実に作成できる、公正証書遺言が一番オススメです。
ただし、それなりに費用がかかるので、費用が気になる方は自筆証書遺言を作成すると良いでしょう。

遺言書は、考えることが多いため、一人で作成していると、「遺留分の侵害」「相続人間の不平等」「気持ちのすれ違い」など、後に問題となりかねない要素を見過ごしてしまうリスクがあります。
遺言の作成にあたっては、必ず「法律の専門家」に一度は相談した上で、作成しましょう。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
弁護士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続に関する記事を250以上作成(2022年1月時点)。
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